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したがって銀行員の意識は一般的には、「下手なことはしたくない、危ない橋は渡りたくない、傷つきたくない」という、保守的な考えです。 例えば、 ある企業に融資を断わる際の断わり文句「私は精一杯努力したのですが、本部がどうしても駄目だと言うので」「支店としてはやりたかったのですが、本部の承認がおりないので」 企業側が取引解消を匂わせて話をしたとたん、 うろたえて「そういうことを今おっしゃられると、私の管理責任が問われる。ちょっと待ってください」 長年大きな組織に身を置いていますと、自分の身を守ろうとする保身の意識が自然と備わってくるものです。 銀行という組織は、行員の職務権限や責任が厳格に定められている、古い体質の典型的なタテ社会です。 その中で働く個々人は、組織の歯車として機能しています。 そして、どの銀行も程度の差はあっても多額の不良債権を抱え、それを処理するために支店の統廃合や行員のリストラ・減給等を実施してきました。 その結果、担当者一人当たりの業務量は一昔前に比べて飛躍的に増加して、過重な労働条件になっているとともに、仕事の内容も質的に変化して、やり甲斐が感じられなくなっています。 したがって行員の大多数は将来に向けて希望が持てず、勤労意欲が低下しているのが現状です。 銀行の変化を示すいくつかの兆侯があります。 例えば、よく担当者変わってしまう事があります。 貸付担当者も、一人当たりの取引先件数が増加した上に、以前は係長、課長、副支店長、支店長と、何人も上司がいましたが、今では、課長、支店長と簡素化され、少人数で取引先を担当するようになっています。 しかも、その上に、貸付先の信用格付の設定、見直し作業や自己査定などの事務負担も加わってきています。 したがって、取引先に対する業務もかなり合理化が図られ、「事務作業十α」に限定されるなど、かなり絞り込まれています。 関連先の新規取引先開拓や取引先企業の周辺業務と言われる社長・役員や社貝の取引等をフォローする業務などは、ほとんど難しくなってきました。 また、従来は貸出のある法人取引先はすべて担当者がいましたが、これからは担当者のいる企業は恵まれており、多くの企業は決まった担当者すらいなくなってしまい、遠く離れたセンターや本部がそれらの企業の事務処理のみを扱うような動きになってきました。 以前のように、支店長が経営相談に乗る機会も少なくなっています。 その原因は煎じ詰めれば銀行のリストラ、支店人員の削減によるものです。 支店の中の様子も大きく変わってきました。銀行の窓口では、お客様は番号札をもらいロビーで自分が呼ばれるまで待って、用事が済めば、帰されるようになりました。 取り扱う商品も、預金・投資信託・ローンなどと多くなり、取扱商品ごとに窓口が異なり、普通預金の事務が終わったら、投資信託の窓口に行き、ローンの窓口で一部返済を済ませたら、次は送金の窓口に行って、その都度順番を待たされる事が多くなりました。 一人の窓口担当者がお客の全てのニーズに一度に応えることは、ほとんどなくなりました。担当者と言葉を交わす時問も減って、なかなか顔も覚えてもらえず人間関係も稀薄になっています。 デバートの売場はいろいろな出店企業の寄り合い所帯となっていると言われますが、銀行も取扱い商品が多くなったため、証券会社出身者や生保損保出身者を多く中途採用しています。店舗によっては、プロパーの行員が半分のところがあります。 これからの銀行もこのように寄り合い所帯になっていきます。 中小企業経営者は、以上のような銀行の変化をよく認識した上で、銀行とのパイプを確保しておく必要があります。また、自分の会社は自分で守らなければなりません。銀行との距離が隔たったと思われるときにこそ、大いに自社の強みなどを融資担当者に伝え、理解してもらうことが重要だと思います。 融資の審査は稟議書で判断します。 稟議を作るのは「担当者」です。担当者には、決裁権限がありませんので、「貸したい」と思っても上司である課長や支店長が「否」という判断を下すことはよくあることです。 一方、担当者が「否」と判断した融資要請はどうなるのでしょうか。稟議制度は、複数の関係者の判断を経ることによってリスク回避を行う合理的な制度です。 よって、融資の案件について、担当者の「否」という判断が合理的である場合に、支店長が自分のリスクで「可」と、担当者の判断を覆すことはまれです。つまり、担当者に自社を理解させることは、資金調達の前提条件であるのです。担当者の意見を見くびってはいけません。 銀行の支店で一番権限を持っているのは支店長です。よって、支店長に自社を理解してもらうことは重要です。 しかし、銀行の支店の顧客は多岐にわたります。1人で数十社も担当している場合もありますので、1支店の顧客数はかなりの数になります。支店長は神様ではありませんので、特に重要な取引先以外の情報について、あまり深くは理解していないことが多いのが実態です。 個別の融資案件に対して支店長は担当者に確認せざるをえません。ましてや、担当者が「否」であればよほどのことがない限り、担当の意見が支店長の意見となります。 余談ですが、私が若い時、融資担当をしている時に担当を小馬鹿にしている社長がいました。その会社の稟議を書くときは金利を思いっきり高くしていました。それでも上司からは怒られたことはありませんでした。 銀行の担当者は早くて1年、長くて5年、平均して2〜3年で転勤していきますが、長年銀行取引をしていますと、様々なタイプの担当者に出くわします。 問題は、自社にとって良くない担当者に出会った場合です。 例えば
このような、担当者リスクから会社を守るためには、様々な目配せ気配せが必要になってきます。 特に担当が替わった直後は、すぐに人物を見ぬけないのでリスク回避の工夫が必要になってくるのです。 ■ (1)担当者の上司に知ってもらう 銀行員は、聞いてしまったら責任が生ずると常に考えています。そこで、担当者の上司である営業課長もしくは、取引先課長にそれとなく伝えておくのです。 注意しなければならないのは、担当者を信用していないような確認の仕方は最悪です。 「今日○○さんに運転資金の件を話しておいたけど、忘れないようにいっておいて」等と電話をしてはいけません。 まず、担当者が外交に出ている時間帯(懸案事項を話した直後等)に担当者の○○さんを呼び出すのです。当然さっき帰ったところなのでいるはずがありませんから、外出申との答えが返ってきます。そこで、「では▲▲課長をお願いします。」と上司を電話口に出してもらうのです。 面識がなければ「担当の課長をお願いします。」といえば十分です。そして「○○さんに今日お願いした運転資金××万円の借り入れの件で、条件を聞き忘れた部分があるので教えて頂けませんでしょうか。」 と切り出します。 「私では詳細を解りかねますので、○○が戻りましたら連絡させます。」と定番の答えが返ってきます。そうしたら「それでは、株式会社○×建設の田中と申しますが、運転資金の件で電話をいただきたいとお伝えください。」といって電話を切ります。面識がない場合は、相手の名前を聞いておきます。 ポイントは、運転資金の申し込みをしている株式会社○×建設があることを認識させることです。 次に、この案件については自分も話を聞いてしまったと印象づけることなのです。 上司と面識がない場合は、翌日銀行に出向いて、昨日電話で話した課長と名刺交換できれば上出来です。不在であれば、名刺だけ置いてきても良いのです。話をしてから時間があまり経過していてはいけません。何事もタイミングが大事です。 上司が認識している案件をそのまま放置することはできませんので、担当者としても話を進めざるを得なくなるのです。このように保険をかければ、担当者は、この会社の案件は迅速に処理しなければならないと思うはずです。 また担当者の対応ぶりに疑問や不安を感じたときは、最悪の場合、事故やトラブルに巻き込まれるケースがあります。 たとえば、融資の承認がおりていないのに「承認されました。OKです」と言ってきたり、先走って借入の契約書を持参したりという場合です。 したがって、「ちょっとおかしいな」と感じたときは、担当者以外の支店関係者に問い合わせてみる必要があります。 ■ (2)担当課長もデキない場合 例としては少ないと思いますが、担当課長が上司や部下に対して存在感をアピールすることだけに専念している場合があります。当然、部下の先にある取引先のことなど眼中になく、対支店長、対部下だけを見て毎日を生きているのです。 このような担当課長に当たってしまったら、融資課長・副支店長・支店長等の立場ある人に要件を知らせておかなければならないことになります。 特に、融資に関わることは銀行に直接出向いて、融資課長・副支店長、場合によっては支店長の同席をお願いするくらいの気概が必要なのです。私の経験では、融資課長は常に忙しく、支店長は不在が多いと相場は決まっています。比較的、小規模企業でも面倒がらずに話を聞いてくれるのは、副支店長及び支店次長なのです。 いずれの立場の人に同席してもらう場合でも時間は短ければ短いほど良いのです。銀行に長居する客ほど迷惑なものはありません。 お問合せ Home -> 融資審査の乗り切り方 -> 銀行の本音を知る |













